シンガポールの現地校に通う息子の長期休みは、年2回。
6月と12月なので、今年からわがやは春の帰国は叶わなくなりました。
もう、日本で桜をゆっくり見ることもできないなと思っていたら、実家から連絡があり、あれよあれよと、急遽私だけ帰国をすることになりました。
渋っていたのは自分で、夫の方から行った方がいいのでは?と申し出てくれて、その場でチケットもすぐにとってくれました。こんなとき、とても頼りになる夫です。
子供達と離れるのは、去年の手術二泊三日ぶりで、それも自分はしんどかったので全くリフレッシュではなかったのですが。
彼らが生まれてから、ぴったり一緒にすごしてきて初めて、1週間ほど離れることなり、正直、嬉しい気持ちより寂しい思いが多かったです。
渡航前は、外食含めての献立を決め、数日分の作り置き、家庭学習や塾の引き継ぎなど、伝えなければいけない細かい部分が多くて、これ業務だわ…とバタバタ過ごしていました。
1人で訪れる空港は、子供を持ってから初。
何もかも身軽で、普段は時間がかかっていた出国審査も1人でスイスイ。ラウンジでのんびり過ごして、好きなものだけを食べて、静寂でした。誰とも話さず口を開かなかったのが変な感じ。
トイレは?急いで!早く〜!の親のお決まりセリフもなく、普段どれだけ声帯使ってるんだろ…と謎に感慨に耽りました。
日本に到着してからは、偶然にも桜が満開の日。今年は開花がとても遅れていて、例えば入学式の写真が桜と一緒に撮影できる、稀な年だったそうです。
学生さんが桜を背景にクラス写真撮っていて、それを眩しく見ている私はもう30代。隣にいる親はもっと歳をとって白髪も増えて、なんだか小さくなっていて、人生の儚さに切なくなりました。こんなに帰りたくないなと思ったのは初めてでした。
どんなに泣きたくなっても、自宅に帰らなくてはいけないのはどの方も同じですね。
滞在中は、短い間とはいえ、両親を連れて食事に出かけました。
久々に実家の家族で楽しむ食事に、両親が少しでも気分転換できたら本望でした。離れて暮らす娘として、できることは本当に少ないので、こうして会える時には楽しい時間を過ごさせてあげたいと思っています。
普段、子供達がいては難しい、形見の品や不用品の整理を手伝い、少しずつすっきりしていく実家を見るのは切ない気持ちになりましたが、出来るうちにって大事ですよね。人生は儚く短いです。
空港で両親との別れの時、年老いた2人の姿を見て、シンガポールへの帰路が久々に辛く感じられました。保安検査の入り口で私の姿が見えなくなるまで見送ってくれた母の姿が忘れられません。
もちろん私も母も、涙を我慢できませんでした。
1人の時間が多く、子供たちや夫のことを思い出しました。彼らが待つ賑やかな家で、私を迎えてくれることを思うと、少し心が軽くなりました。たくさんのお土産を手に、機内に向かいました。
季節は移ろい、桜は終わり次は新緑がやってきます。
次の一時帰国を楽しみに、この地でもう少し頑張りたいと思います。